2025年現在、回転寿司業界では大手チェーン各社が熾烈な店舗拡大競争を繰り広げています。スシロー、はま寿司、くら寿司の上位3社を中心に国内外での出店ラッシュが続く中、各社はどのような戦略で市場シェア拡大を目指しているのでしょうか。本記事では最新の店舗数データから各チェーンの展開状況、地域別の勢力図、そして今後の展望までを徹底解説します。
主要回転寿司チェーンの最新店舗数ランキング
国内・海外合計店舗数
回転寿司業界の勢力図は、ここ数年で大きく変化しています。2025年2月時点の最新データによると、上位3社の店舗数は以下の通りです。
- スシロー：843店舗（国内648店、海外195店）
- はま寿司：718店舗（国内631店、海外87店）
- くら寿司：686店舗（国内551店、海外135店）
この3社が業界をリードし、第4位以下を大きく引き離しています。かっぱ寿司は311店舗（2024年7月時点）、魚べいは174店舗（2024年2月時点）となっており、上位3社と比べると店舗数に大きな開きがあります。
特に注目すべきは、はま寿司の急速な拡大です。親会社であるゼンショーグループの資本力を背景に積極的な出店戦略を展開し、業界2位の座を確立。わずか2年間で61店舗も新規出店するなど、首位のスシローに迫る勢いを見せています。
海外展開の状況
各社とも海外展開を積極的に進めており、特にスシローとくら寿司の海外比率が高いことが特徴です。
- スシロー：海外195店舗（全体の23.1%）
- くら寿司：海外135店舗（全体の19.7%）
- はま寿司：海外87店舗（全体の12.1%）
意外なことに、元気寿司も海外展開では健闘しており、2024年6月末時点で242店舗を展開。これは国内店舗数（169店）を上回る規模で、米国やアジアの計9か国・地域に出店しています。
売上高から見る回転寿司ビジネスの実力
店舗数だけでなく、売上高の観点からも各社の実力を見てみましょう。最新の売上高データによると、上位3社の売上は以下の通りです。
- スシロー：3303億円（前年比+21.4%）
- くら寿司：2114億円（2023年10月期）
- はま寿司：1971億円（2024年3月期）
上位3社だけで売上高合計が7000億円を超え、市場シェアの約75%を占めています。スシローは特に海外事業が好調で、海外売上高は921億円と全体の27.9%を占め、中期的には海外売上比率40%を目指しています。
かっぱ寿司（722億円）や魚べい（元気寿司全体で618億円）も一定の市場規模を持っていますが、上位3社との差は広がる傾向にあります。
地域別展開状況と回転寿司勢力図
都道府県別の店舗展開
各チェーンの地域別展開状況を見ると、興味深い特徴が浮かび上がります。
東京都の店舗数を見ると、スシローが63店舗でトップ、次いでくら寿司が62店舗、はま寿司が49店舗となっています。一方、大阪府ではくら寿司が75店舗と圧倒的多数で、スシローの55店舗、はま寿司の22店舗を大きく引き離しています。
北海道では魚べいが22店舗と独自の強さを見せており、はま寿司23店舗に次ぐ第2位の地位を確立。スシローは16店舗、くら寿司は9店舗にとどまっています。
地域別勢力図
都道府県ごとに最も店舗数が多いチェーンを色分けすると、日本全体の回転寿司勢力図が見えてきます。
- 東北地方：かっぱ寿司が強い
- 関東地方：はま寿司が優勢
- 関西地方：くら寿司の牙城
- 西日本地域：スシローが強さを見せる
特に長野県ではかっぱ寿司が22店舗と圧倒的なシェアを持ち、魚べいは栃木県や北海道で存在感を示しています。地域によって各社の浸透度が大きく異なるのは、創業の地域性や初期の出店戦略が影響していると考えられます。
各チェーンの出店戦略と独自性
スシロー：グローバル展開と効率経営
スシローは国内での安定した店舗展開に加え、海外特にアジア圏での急成長が特徴です。2024年9月期には45店舗（国内7店、海外38店）を出店し、中国では行列ができる人気店となっています。
また、AI需要予測に基づく計画システム（SCM）などのDX推進により、原価率を前期の44.5%から43.1%に抑制するなど、効率経営にも成功しています。人口が多い大都市圏を中心に出店し、東京都（63店）、大阪府（55店）、神奈川県（50店）、愛知県（49店）、千葉県（42店）と、バランスの取れた店舗展開が特徴です。
くら寿司：関西圏を中心とした独自路線
くら寿司の特徴は、本社がある大阪府を中心とした関西圏への集中出店です。大阪府には75店舗を展開し、東京都の62店舗を大きく上回ります。「びっくらぽん」など独自のサービスで差別化を図り、地域に根ざした展開を強みとしています。
市区町村別の店舗数を見ると、東大阪市に6店舗、大阪市浪速区に5店舗と関西圏に集中しており、地域密着型の戦略が功を奏しています。
はま寿司：ゼンショーグループの資本力で急拡大
外食最大手のゼンショーグループ傘下にあるはま寿司は、親会社の資本力を背景に最も積極的な出店戦略を展開しています。わずか2年間で61店舗も新規出店し、スシローに迫る勢いです。
かつてゼンショーはスシローとかっぱ寿司も傘下に持っていた時期がありましたが、現在ははま寿司ブランドに経営資源を集中させています。神奈川県（50店）、東京都（49店）など関東地方を中心に強みを持っています。
今後の展望：変化する回転寿司業界
熾烈化する出店競争と海外戦略
回転寿司業界の上位3社は、コロナ禍からの回復を受けて攻めの経営姿勢に転じています。特に海外市場では、日本食ブームを背景に各社が積極展開。スシローは海外売上比率40%を目標に掲げ、くら寿司も米国、台湾、中国大陸での展開を加速させています。
店舗数で見ると、はま寿司の成長速度が最も速く、今後数年でスシローを追い抜く可能性も出てきました。一方でスシローは海外展開で優位に立ち、くら寿司は独自路線で差別化を図るなど、三つ巴の競争が続きそうです。
デジタル化と効率化の推進
各社とも、AIやデジタル技術を活用した効率経営に力を入れています。スシローはAI需要予測に基づく計画システムでフードロス削減を実現し、くら寿司も店舗運営の無人化・省人化を推進。今後はさらにDXの取り組みが加速すると予想されます。
人手不足や原材料高騰といった課題に直面する中、回転寿司業界の生き残りをかけた戦いは今後も続きます。特に店舗数の拡大だけでなく、収益性の向上や顧客満足度の追求が重要な差別化ポイントになるでしょう。
回転寿司チェーン最新店舗数まとめ
回転寿司業界は現在、大手3社（スシロー、はま寿司、くら寿司）による三つ巴の激しい競争が展開されています。国内店舗数ではスシローがリードしつつも、はま寿司が猛追し、くら寿司も独自路線で存在感を示しています。
海外展開ではスシローとくら寿司が先行しており、特にスシローは今後も海外比率を高める戦略です。地域別に見ると、東北ではかっぱ寿司、関東ではは寿司、関西ではくら寿司、西日本ではスシローといった棲み分けも見られ、地域性を反映した展開が特徴的です。
今後も店舗拡大競争は続くと予想されますが、単なる規模の拡大だけでなく、デジタル化による効率経営や独自サービスによる差別化が重要な成功要因となるでしょう。回転寿司業界の動向は、日本の外食産業の今後を占う重要な指標として注目されています。
参考サイト：
日本ソフト「【2024年版】寿司チェーンの店舗数ランキング」 https://www.nipponsoft.co.jp/blog/analysis/chain-sushi2024/
長野旅行ナビ「【2024】回転寿司チェーン 都道府県別店舗数ランキング+勢力図」 https://naganotabi.com/vs47_sushi
日経SPA「出店ラッシュ続く回転寿司チェーン大手3社の中で」 https://news.goo.ne.jp/article/nikkan_spa/trend/nikkan_spa-2078626.html
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