夏の夜、庭やバルコニーでくつろぎたいと思っても、照明に集まってくる虫に悩まされた経験はありませんか?エクステリア照明は住まいの美観と安全性を高める重要な要素ですが、光に引き寄せられる虫の存在は大きな悩みの種です。この記事では、最新の技術を活用したエクステリア照明の虫対策について詳しく解説します。LED照明の防虫効果から専用の虫対策製品まで、快適な屋外空間を実現するためのポイントを押さえていきましょう。
虫が光に集まるメカニズムとLED照明の優位性
なぜ虫は光に集まるのか?
虫が照明に集まる主な理由は2つあります。
- 走光性(正の走光性):多くの虫は光に対して一定の角度を保って移動する性質を持っています。本来は月や太陽の光を目印にして飛ぶ方向を決めているのですが、人工的な照明は四方八方から光を発するため、虫は照明の周りをぐるぐると飛び回ることになります。
- 紫外線への反応:虫は人間の目には見えない紫外線を感知することができます。特に波長の短い紫外線(380nm以下)に強く反応し、これを飛行の手がかりにしています。従来の白熱電球や蛍光灯は、この紫外線を含んでいるため、虫が多く集まる傾向がありました。
LED照明の防虫効果
LED照明が虫を寄せ付けにくい理由は、その光の特性にあります。一般的な白色LEDは紫外線をほとんど含まないため、虫を引き寄せる効果が大幅に低減されています。
実際の実験では、LED電球と白熱電球を比較した結果、白熱電球には90匹の虫が集まったのに対し、LED電球にはわずか10匹しか集まらなかったというデータもあります。これは白熱電球に比べて約1/9の誘虫性という驚きの結果です。
ただし、すべての虫に効果があるわけではありません。コガネムシ、アブラムシ、スズメバチ、カメムシ、蛾、ハエ、セミなどには効果がありますが、蚊やゴキブリのように紫外線への感受性が低い虫には効果が期待できません。
エクステリア照明における効果的な虫対策
低誘虫照明の選び方
エクステリア照明を選ぶ際に、虫対策として効果的な製品の特徴をいくつかご紹介します。
- 紫外線カット機能付きLED照明
- 紫外線領域の光(380nm以下)をカットしている製品を選びましょう。
- 「低誘虫」「UVカット」などの表記がある製品がおすすめです。
- 光の色温度に注目
- 虫は青白い光(高色温度)に集まりやすい傾向があります。
- 暖色系(電球色:2700K~3000K)の照明は比較的虫が寄りにくいとされています。
- 高圧ナトリウムランプタイプのLED
- 高圧ナトリウムランプは従来から誘虫性が低いとされていました。
- 同様の光色のLEDも虫を寄せ付けにくい特性があります。
設置方法の工夫
照明器具自体だけでなく、設置方法を工夫することでも虫の侵入を防ぐことができます。
- 照明カバーの構造に注目
- カバーと本体の隙間をなくした構造の製品は、虫の侵入を防ぎ、メンテナンスの手間を減らせます。
- 防虫性能実験では、適切な構造設計により虫の侵入が1/10以下に減少したという結果もあります。
- 照明の配置と向き
- 直接出入り口を照らすのではなく、間接的に照らす配置にすることで、虫が室内に入りにくくなります。
- 下方向への照射を主とする器具を選ぶと、周囲への光の拡散が少なく、虫を引き寄せる範囲を限定できます。
おすすめの防虫対応エクステリア照明製品
現在市場には様々な防虫対応のエクステリア照明製品があります。代表的なものをいくつかご紹介します。
低誘虫LED照明
- LEDioc LEDライトバルブ
- 水銀ランプからの置き換えに最適な全周配光形のLEDランプ
- 省エネ、長寿命で低誘虫性を実現
- 構内灯のLED化におすすめ
- FECセラルクスエースPRO
- ランプ外管に紫外線領域の光を約90%カットするUVカット膜をコーティング
- 水銀ランプなどと比べ虫の誘引を大幅に低減
- 高効率で省エネを実現し、自然光に近い演色性を持つ
- マジックオプトロンLED
- 「防虫専用LED」搭載の照明器
- トラックヤードなど建物の広い開口部周辺に設置することで防虫効果を発揮
- 誘引阻止率80%を実現
- 蛍光灯より明るい視認性の高いクリアグリーンの光
これらの照明は、単に虫を寄せ付けないだけでなく、省エネ効果や長寿命といった現代の照明に求められる要素も備えています。
補完的な虫対策方法
LED照明を使用しても完全に虫を防ぐことは難しい場合があります。そんな時は、以下の補完的な虫対策も併用すると効果的です。
虫の侵入を防ぐ物理的な対策
- 防虫スプレーの活用
- 「虫こないアース 玄関灯・外壁に」などの専用スプレーを使用する
- 玄関灯や外壁に噴射することで約4ヵ月間の虫よけ効果が期待できる
- ジェット噴射タイプなら高所の照明にも対応可能
- 虫除けプランツの活用
- レモングラスやローズマリーなど、虫が嫌う香りを持つ植物を照明付近に配置する
- 自然な方法で虫を遠ざけることができる
計画的な照明利用
- センサー付き照明の活用
- 人が通ったときだけ点灯するセンサー式照明を使用する
- 必要なときだけ点灯させることで、虫を引き寄せる時間を最小限に抑える
- タイマー設定の活用
- 必要な時間帯だけ照明を点灯させる
- 虫が最も活発になる時間帯は照明を控えめにする
最新技術:虫を「集める」照明
虫を寄せ付けない照明とは逆のアプローチとして、意図的に虫を特定の場所に集める「誘虫器」という選択肢もあります。
パナソニックのLED誘虫器「ムシキーパー」は、紫外+青色LEDにより虫を効果的に誘引し、他の場所への拡散を低減します。従来の電撃殺虫器と異なり、虫を殺さずに誘引するだけなので、生態系への影響を最小限に抑えられるという特徴があります。
このような製品は、スポーツ施設のグラウンド、店舗、倉庫・工場などで活用でき、主照明に集まった虫を誘虫器にとどめて拡散を防ぐという新しい虫対策のアプローチです。
エクステリア照明の虫対策で快適な住環境を実現しよう
エクステリア照明における虫対策は、単に虫を寄せ付けないだけでなく、省エネや長寿命といった現代の照明に求められる要素も併せ持つ総合的なソリューションへと進化しています。
低誘虫LED照明の採用、設置方法の工夫、補完的な対策の併用により、快適な屋外空間を実現することができます。また、生態系への配慮という観点から、虫を殺さずに制御する新しいアプローチも注目されています。
これからの季節、エクステリア照明の虫対策をしっかり行って、虫に悩まされない快適な夏の夜を過ごしましょう。最新技術を活用すれば、明るく美しい照明と虫のいない快適な環境の両立は十分に可能です。
参考情報
- 岩崎電気 https://www.iwasaki.co.jp/lighting/factory/concept/insect/02_2.html
- ビームテック https://beamtec.co.jp/select/ledの光には虫がよってこない理由について解説!/
- パナソニック https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/outdoor/invites-insects/
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