五月人形を大切に包み、次の年も美しい状態で飾るための収納術をご紹介します。和紙包みの正しい方法を知ることで、家族の宝物である五月人形を長く美しく保つことができます。晴れた日を選び、丁寧に包むことで、来年の端午の節句も素晴らしい飾りで迎えられるでしょう。この記事では、プロも実践している和紙包みのコツから収納場所の選び方まで、五月人形を最適に保管するための全てをお伝えします。
五月人形はいつ収納する?最適なタイミングを逃さない
「五月人形をいつしまうべきか」は多くの家庭で悩むポイントです。端午の節句が終わった後、いつまで飾っておくべきか迷いますよね。
最適な収納時期は、5月5日のこどもの日が過ぎた後の5月中旬ごろまでが一般的です。特に大切なのは、晴れた日の午前中を選ぶことです。なぜなら、湿気の少ない日に収納することで、カビや劣化を防げるからです。
「大安の日に収納したい」という方もいますが、それよりも天気の良い乾燥した日を優先すべきです。いくら縁起の良い日でも雨の日に収納すると、収納箱内に湿気がこもってカビの原因になります。
梅雨入り前の穏やかな日に、「今年もありがとう」という気持ちを込めて収納することで、大切な五月人形を長持ちさせることができるのです。
和紙包みが重要な理由|五月人形を守る最初の防御
五月人形の収納で最も重要なのが和紙での包み方です。なぜ和紙が最適なのでしょうか?
和紙は通気性に優れていながら、適度な保護機能も持っています。新聞紙を使うとインクが人形に移ってシミになる可能性がありますが、和紙は色移りの心配がありません。
また、ビニール袋で密閉してしまうと水分が逃げられず、袋の中に湿気がこもるため避けたほうが良いでしょう。和紙は湿気を適度に調整する性質があるため、五月人形の保存に最適なのです。
人形を購入した際、お顔を包んでいた和紙があれば、それを再利用するのが一番確実です。もし和紙が破れたり失くしたりした場合は、お花紙や半紙で代用できます。その場合は、さらにキッチンペーパーを重ねて二重に包むと安心です。
プロ直伝!五月人形の正しい和紙包み手順
五月人形を長持ちさせるための和紙包みの正しい手順をご紹介します。
①まずは丁寧にホコリを払う
収納前に、羽毛毛ばたきなどで人形や台、道具についたホコリを丁寧に払います。髪の毛にホコリがついている場合は、カメラ用のエアダスターで吹き飛ばすとキレイにできます。
②布手袋を着用して人形に触れる
収納作業中は布手袋を着用しましょう。人形を素手で直接触ると手垢が付き、シミになる恐れがあります。布手袋はホームセンターや100円ショップでも購入できるので、ぜひ用意しておきましょう。
③お顔から丁寧に和紙で包む
まず人形のお顔を包む際は、購入時に包まれていた和紙を使用します。人形のお顔は特に繊細なので、丁寧に包みましょう。和紙がない場合は、お花紙や半紙を代用し、さらにキッチンペーパーで二重に包むと安心です。
④金属部分は特に注意して包む
鎧飾りや兜飾りの金属部分は、指紋がつくとサビの原因になります。また異なる金属同士が直接触れると変色の原因になるため、それぞれを柔らかい薄紙で個別に包みましょう。
特に鍬形(くわがた)や龍頭(りゅうず)などは、2枚が直接触れないよう、柔らかい薄紙等で包み、それぞれ別々に保管するのがポイントです。
⑤和紙で包んだ後の収納方法
和紙で包んだ人形は、専用の収納箱に入れます。収納箱に入れた際にできる隙間には、新聞紙などを柔らかく丸めて緩衝材として入れましょう。ただし、あまり強く押し込むのは避け、ふんわりと詰めるのがコツです。
五月人形の保管場所選び|湿気から守るポイント
五月人形の保管場所選びも非常に重要です。適切な場所を選ばないと、せっかく丁寧に包んでも劣化してしまいます。
最大の敵は「湿気」
五月人形の保管において最大の敵は「湿気」です。お風呂場の隣の押し入れや、結露しやすい窓際など、湿気がこもりやすい場所は避けましょう。
押し入れが二段以上ある場合は、上段を選ぶのがおすすめです。下段に置く場合はすのこを敷くなどの工夫をしましょう。
直射日光も避ける
直射日光も五月人形にとっては大敵です。紫外線によって色あせや劣化を引き起こすため、窓際など直射日光が当たる場所は避けましょう。
極端な高温も注意
夏場に極端に高温になる屋根裏などの場所も避けるべきです。高温になると接着剤が溶けたり、素材が劣化したりする恐れがあります。
風通しの良さもチェック
保管場所は風通しが良いことも重要です。密閉された場所ではなく、適度に空気が循環する場所を選びましょう。
収納に役立つ必須アイテム
五月人形を適切に収納するためには、いくつかの便利なアイテムがあると便利です。
布手袋
収納作業中は布手袋を着用しましょう。人形を素手で直接触ると手垢がついてシミになる恐れがあります。
羽毛毛ばたき
ほこりを払うために羽毛毛ばたきが便利です。お仏壇のある家庭なら、日頃からお仏壇掃除に使っているかもしれません。
和紙や柔らかい紙
人形を包むための和紙や柔らかい紙を用意しましょう。新聞紙はインクが移る恐れがあるため、無地の紙が理想的です。
乾燥剤
適度に乾燥剤を使うことで湿気対策になります。ただし入れすぎるとヒビ割れの原因になるため注意が必要です。
防虫剤
虫食いを防ぐために防虫剤も有効です。ただし、人形の素材によっては相性が悪いものもあるため、専門家に相談するのが確実です。
五月人形を年に一度の虫干しで長持ちさせる
丁寧に収納した五月人形ですが、年に一度は虫干しをすることをおすすめします。
秋ごろの晴れて乾燥している日を選び、箱から出して風通しの良い日陰で数時間虫干しすることで、湿気や虫害を防ぐことができます。
この時も直射日光は避け、風通しの良い場所で行うようにしましょう。虫干しの際には、虫食いやカビの兆候がないか確認するのも大切です。
来年も美しく飾るための心がけ
五月人形を長く美しく保つためには、「しまう」という行為にも愛情を込めることが大切です。片付ける際には、心を込めて丁寧に扱うことで、大切な五月人形を長持ちさせることができます。
お子さんにも「お雛様は、ままごとの人形やぬいぐるみとは違うからね。触って可愛いがるんじゃなくて、見つめて可愛いがってね」と教えて理解させると良いでしょう。
五月人形をただの飾りものではなく、お子さんの健やかな成長を願う大切なシンボルとして扱うことで、モノを大切にする心も自然と身につきます。
「また来年も、変わらず飾れますように」そんな願いを込めて、丁寧に和紙で包み、収納してあげましょう。
まとめ:五月人形の和紙包みで次世代へ伝える日本の伝統
五月人形の和紙包み収納術は、単なる片付け方ではなく、日本の伝統文化を次世代に引き継ぐための大切な知恵です。
五月人形は湿気や直射日光、高温を避けて保管することが基本です。収納前には毛ばたきでホコリを払い、布手袋を着用して、購入時の和紙や柔らかい紙で丁寧に包みましょう。
特にお顔や金属部分は繊細なので、個別に包むことが重要です。収納箱に入れる際には、ふんわりと新聞紙を丸めて隙間を埋め、乾燥剤も適度に入れると良いでしょう。
五月人形を丁寧に収納することは、子どもに「ものを大切にする心」を自然と伝えることにもつながります。
来年の端午の節句に、また美しい五月人形を飾れるよう、今年は和紙包みの基本を押さえて、大切な五月人形をプロの技で収納してみませんか?
【参考サイト】
ますむら人形(五月人形の収納保存|節句お役立ちガイド)
https://www.masumuradoll.co.jp/features/3319/
人形会館ガリバー(ひな人形のしまい方)
https://www.gdoll.net/knowledge/house-hinaningyo.html
福井県の老舗人形屋、山田のブログ(五月人形のしまい方について)
コメント