和室の畳は温かみのある雰囲気と柔らかな踏み心地が魅力ですが、長年使用していると傷や汚れが目立ってきます。大切な畳を守るために、適切なマットを選び、正しく配置することが重要です。この記事では、畳の保護に適したマットの種類から、効果的な配置方法、メンテナンスのコツまで徹底解説します。畳を長持ちさせながら快適な和室空間を実現しましょう。
畳を保護するのに最適なマットの種類と特徴
畳を保護するためのマットには様々な種類があります。それぞれの特徴を理解して、あなたの和室に最適なものを選びましょう。
コルクマットとジョイントマットが畳保護の定番
畳の傷防止グッズといえば、コルクマットやジョイントマットが特におすすめです。天然コルク素材のコルクマットは断熱性に優れており、肌触りも良好です。夏や冬に裸足で歩いても快適に過ごせる特徴を持っています。また、物を落としても音が響きにくく、防音性にも優れています。
一方、EVA樹脂製のジョイントマットはクッション性が高く、ペットや小さなお子様がいるご家庭で重宝されます。色柄のバリエーションが豊富で、カラフルなものから落ち着いたフローリング調のものまで様々な種類が販売されています。
特筆すべきは、畳柄のジョイントマットも存在することです。畳は保護したいけれど雰囲気を壊したくないという場合に最適な選択肢となるでしょう。
選ぶ際のポイントとして、できるだけ大き目のパーツを選ぶことをおすすめします。ジョイント部分が少ないほど、上を歩いたときの凹凸感が軽減され、寝ころんだときの感触も良くなります。
チェアマットとい草座卓敷きで家具による傷を防止
和室で椅子やテーブルを使用する場合、チェアマットやい草座卓敷きを活用しましょう。特にキャスター付きの椅子を使う場合は、チェアマットが必須アイテムです。床材の傷を防ぐ椅子専用のマットで、キャスターの可動範囲全体をカバーできます。
チェアマットには透明で硬さのあるクリアタイプと、ポリエステルなどのやわらかい素材を使ったカーペットタイプの2種類があります。チェアマットを敷くことで、畳のキズや凹みを防止するだけでなく、汚れにも対応しやすくなります。飲み物をこぼしてしまったり、花瓶が倒れてしまったりといった和室で起こると厄介なトラブルにも対応可能です。
い草座卓敷きは小さな畳状の敷物で、テーブルや椅子の脚の下に敷いて使います。家具の重みを面で分散させることにより、傷やへこみを防げる効果があります。畳と同じ素材を使っているため、見た目に統一感があるのも魅力です。和室のインテリアによく馴染み、違和感なく使えるでしょう。
上敷き・ござとフローリングマットの特徴と活用法
畳の上に敷くものとしては、上敷き(ござ)も非常におすすめです。上敷きはい草で作られた畳の上に敷く敷物で、和室の雰囲気を損なうことなく、お部屋をより快適なものにすることができます。
上敷きの主なメリットは以下の通りです:
- 畳の表面を傷や日焼けから保護できる
- 畳の汚れや傷みを隠すことができる
- 畳の規格に合わせて作られているので、綺麗に敷き詰められる
- 通気性が良く、カビにくい
- 夏はさらっと涼しく、冬は温かい
一方、フローリングマットは置くだけで和室を「洋室風」の部屋に近づけることのできる人気アイテムです。しかし、カビの発生やダニの増殖が起こるデメリットもあるため注意が必要です。フローリングマットを選ぶ際は、抗菌性や防カビ機能のあるものを選ぶと良いでしょう。
畳を守るための正しいマット選びのポイント
マットを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを押さえることで、畳を効果的に保護できます。
通気性の良い素材を選んで湿気対策を徹底
畳は湿気に弱いため、マットを選ぶ際には通気性の良い素材を選ぶことが最も重要です。湿気があるとカビやダニが発生する可能性が高まります。
裏地がゴム製のものや、基布(カーペットの裏地をつくる材料)に接着剤を使用しているものは通気性が悪いため、避けるべきでしょう。また、裏面に滑り止めのシリコンやゴムの突起が付いているグッズは、ホコリや摩擦による傷がつきやすくなるため、こちらも避けたほうが無難です。
特に梅雨など湿気が多くなりやすい時期には、こまめに換気をして湿度を下げるよう心がけましょう。換気のポイントは、扉や窓を2ヵ所以上開けて風通しを良くすることです。湿度の高さが気になるようであれば、除湿器を使用するか、エアコンのドライ機能で調整すると効果的です。
畳のサイズに合わせた適切なマットを選ぶ
上敷きやマットを選ぶ際には、特にサイズをよく確認することが重要です。畳は地方によって規格が異なるので、ご自身のお部屋の畳のサイズや、使用したい場所の広さを必ず確認してから選びましょう。
畳の主な規格は以下のとおりです:
- 江戸間(えどま):関東地方中心、1畳 約87×174cm
- 団地間(だんちま):アパート・マンション向け、1畳 約85×170cm
- 本間(ほんけん):近畿、中国、四国、九州地方、1畳 約95.5×191cm
- 三六間(さぶろくま):東海地方中心、1畳 約91×182cm
- 六一間(ろくいちま):広島・山口県など、1畳 約92.5×185cm
畳の規格が分からない場合は、予めお部屋のサイズを測ったり、自分で長さ調節が出来るタイプやカット出来るタイプなどを選ぶと安心です。
家族構成や用途に合わせたマットの選び方
小さなお子様やペットがいるご家庭では、防水機能のあるマットが適しています。畳は飲み物をこぼしてしまうとシミになる場合があるため、畳の汚れを防ぐなら、防水タイプのマットを敷くのがおすすめです。
また、犬を飼っている家庭では、滑りに配慮した犬用のフローリングマットも選択肢の一つです。このタイプのマットは犬の爪が食い込んで歩きやすく、衝撃を吸収するというメリットがあります。汚れが拭き取りやすいという特徴もあり、飼い主の負担を軽減してくれます。
機能性で選ぶ場合、抗菌性や防カビ機能のあるフローリングマットや、防音機能があるもの、衝撃吸収性が高いものなど、様々な機能を持つマットから選べます。自分のニーズに合った機能を持つマットを選びましょう。
マットの効果的な配置方法と注意点
マットを選んだら、次は効果的な配置方法を考えましょう。配置の仕方によって畳の保護効果が大きく変わります。
家具の下に敷く場合の効果的な配置法
重い家具を置く場合は、家具の脚の下にマットを敷くことで、畳の傷やへこみを防止できます。特に椅子やテーブル、ベッドなど移動させることがある家具には、マットの使用が効果的です。
和室にベッドを置く場合は:
- ベッドの脚の下に「マット」や「足敷」を敷く
- ベッドの下に通気性のよい「カーペット」や「マット」を敷く
- ベッドを動かす時はむやみに引きずらない
- 接地面の広いベッドを選ぶ
畳のカビ・ダニ対策としては:
- ベッドの下に「湿気吸収シート」や「ダニ除けシート」を敷く
- ベッドは壁から少し離して配置する
- マットレスを常に乾燥した状態にしておく
- 通気性のよいベッドを選ぶ
部屋全体にマットを敷く際の配置とメンテナンス
畳の部屋全体にマットを敷く場合は、畳とマットの間に防湿防虫シートを敷いておくとよいでしょう。これにより、カビやダニの発生を防ぐことができます。
また、畳の上に食べかすや埃、髪の毛などが落ちていると、カビやダニが繁殖しやすくなります。こまめに掃除機をかけて、畳をきれいな状態にしておくことが大切です。
畳全体をマットで覆ってしまうと、畳の状態を確認するのをつい忘れてしまいがちです。ときどきマットを取り外して、カビ・ダニが発生していないかチェックする必要があります。日常的な換気と掃除も大切ですが、年に1~2回は大掃除をするのが望ましいです。固く絞った雑巾で表面を拭いたあと、畳を干して風を通しておきましょう。
季節に応じたマット配置の工夫
季節によって畳へのダメージの種類も変わるため、マットの配置も季節に応じて変えることをおすすめします。
夏場や梅雨時期は湿気が多いため、マットの下に湿気がこもりやすくなります。この時期は特に通気性を考慮した配置が重要です。マットを敷きっぱなしにせず、晴れた日にはマットを上げて畳に風を通すことで、カビやダニの発生を防ぎましょう。
冬場は暖房器具の使用で室内が乾燥するため、畳の乾燥による割れやささくれに注意が必要です。寒い時期には保温性の高いマットを選び、暖房器具の近くには耐熱性のあるマットを配置することをおすすめします。
マット使用時の畳のメンテナンス方法
マットを使用している場合でも、畳のメンテナンスは欠かせません。定期的なケアで畳を長持ちさせましょう。
定期的な換気と掃除で湿気とホコリを除去
畳は湿気に弱いため、日頃からの防湿対策が欠かせません。特に梅雨など湿気が多くなりやすい時期には、こまめに換気をして湿度を下げるよう心がけましょう。
換気の際のポイントは:
- 扉や窓を2ヵ所以上開けて風通しを良くする
- 湿度の高さが気になるようであれば、除湿器を使用する
- エアコンのドライ機能で調整する
- 洗濯物は和室以外の場所に干す(室内干しは室内の湿度を上げる)
また、畳の上に食べかすや埃、髪の毛などが落ちていると、カビやダニが繁殖しやすくなります。こまめに掃除機をかけて、畳をきれいな状態にしておくことが大切です。
カビ・ダニ対策の実践方法
畳の上にマットを敷く際には、畳とマットの間に防湿防虫シートを敷いておくとよいでしょう。これにより、カビやダニの発生を防ぐことができます。
チェアマットやカーペットはできるだけ取り外しが簡単なものを選び、定期的にメンテナンスができるようにしておくと良いでしょう。取り外しが簡単なチェアマットなら、カビやダニの発生を防ぎやすくおすすめです。
また、防水タイプのマットを選ぶことで、畳が濡れてカビが発生するリスクを減らすことができます。
畳の状態確認とマットのお手入れサイクル
畳全体をマットで覆ってしまうと、畳の状態を確認するのをつい忘れてしまいがちです。ときどきマットを取り外して、カビ・ダニが発生していないかチェックする必要があります。
日常的な換気と掃除も大切ですが、年に1~2回は大掃除をするのが望ましいです。固く絞った雑巾で表面を拭いたあと、畳を干して風を通しておきましょう。
マットのお手入れサイクルは以下の通りです:
- 毎日:簡単な掃除、換気
- 週1回:マットの裏側の確認、掃除機がけ
- 月1回:マットを取り外して畳の状態確認
- 年2回:大掃除、畳の状態をしっかり確認
畳とマットのトラブル対処法
どんなに気をつけていても、畳やマットにトラブルが発生することはあります。そんな時のための対処法を知っておきましょう。
畳のささくれやへこみの簡単補修方法
畳にささくれができた場合でも、ハサミや木工用ボンドなどで簡単に補修可能です。軽度なささくれであれば、以下の手順で対応できます:
- 掃除機・乾いた雑巾で畳の上の埃を取り除く
- 先端の細いハサミで、毛羽立っているささくれを根元から切り取る
- ささくれた部分に、木工用ボンドを塗る(透明マニキュアでも可)
- 余分な木工用ボンドを古い布などで拭き取る
- 畳の表面を古い布などでトントンと押さえて馴染ませる
畳のへこみが小さい場合は、濡れタオル・アイロン・ドライヤーを使って応急処置が可能です:
- 濡れタオルを、畳のへこんだ箇所に置く
- アイロンを中温設定にして、濡れタオルの上に押し当てる
- ドライヤーで畳を乾かし、部屋を換気する
ただし、アイロンを同じ箇所に長時間当てると、畳の表面が変色する恐れがあるので注意しましょう。
マット下の湿気トラブルと緊急対応
マットの下に湿気が溜まってカビが発生した場合は、すぐに対処することが大切です。以下の手順で対応しましょう:
- マットを取り外し、畳の表面を確認する
- カビが発生している場合は、薄めた中性洗剤で優しく拭き取る
- しっかりと水分を拭き取った後、扇風機やドライヤーの冷風で乾燥させる
- 完全に乾いたことを確認してから、防湿防虫シートを新しいものに交換する
- マットを戻す前に十分に換気し、湿度を下げておく
予防策としては、梅雨の時期や長期間留守にする前には、マットを取り外しておくことをおすすめします。また、湿気取りグッズを和室に置いておくことも効果的です。
長期間マットを使用する場合の注意点
長期間同じ場所にマットを敷いていると、マットの下の畳だけ色が変わってしまうことがあります。これを防ぐには、定期的にマットの位置を少しずらしたり、マットを取り外して畳全体に均等に日光が当たるようにしたりすることが効果的です。
また、長期間マットを使用する場合は、畳の表替えや新調の時期にも注意が必要です。畳は一定の周期で表替えや新調が必要なため、フローリングなどに比べるとメンテナンスが多い床材です。そのため、和室にはなるべく物を置かないようにするのがベストです。
チェアマットやカーペットを敷く際は、「固定させない」こともポイントになります。畳のメンテナンスがしやすいよう、取り外しやすい状態を保ちましょう。
和室を快適に保つマット活用の極意
和室の畳を保護するマットを上手に活用することで、畳を長持ちさせながら快適な空間を実現できます。最後に、マット活用の極意をまとめました。
マット選びでは、通気性の良い素材を選び、畳のサイズに合ったものを選ぶことが重要です。コルクマットやジョイントマットは畳の保護に最適ですが、大判サイズを選ぶとジョイント部分が少なくなり、より快適に使用できます。
マットを敷く際は、畳とマットの間に防湿防虫シートを敷いておくとカビやダニの発生を防げます。また、定期的にマットを取り外して畳の状態を確認し、換気と掃除を欠かさないことが大切です。
畳の傷やへこみができた場合でも、簡単な補修方法を知っておけば安心です。日頃のケアと適切なマットの使用で、和室の畳を長く美しく保ちましょう。
畳の魅力を活かしながら、マットを活用することで、より快適でおしゃれな和室空間を実現できるはずです。ぜひこの記事を参考に、あなたの和室に最適なマットを選び、効果的に配置してみてください。
【参考サイト】
鳥吉 https://www.tori-matsu.jp/wordpress/ーp=341
大建工業 https://www.daiken.jp/reform/magazine/article/20220906a.html
ラグリエ https://rugrea.com/read/ーp=5233
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